Jリーグ制作で、試合中の判定について毎週検証している動画コンテンツ「Jリーグジャッジリプレイ」が、21日配信の最新回で「令和の大誤審」を取り上げた。17日のJ1浦和レッズ湘南ベルマーレ戦で起きた湘南MF杉岡のゴール不認定に関し、Jリーグ原博実副チェアマン(60)日本サッカー協会JFA上川徹トップレフェリーグループシニアマネジャー(55)タレント平畠啓史(50)が議論。収録現場に「潜入」し、世紀の事態に発展した理由を探った。

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「今日は水を飲む機会が増えるでしょうね」。平畠が切り出し、緊張の収録は始まった。議題は1つ。ゴール内のサイドネットにボールが触れながら、湘南の得点と認定されなかった浦和戦の前半31分の場面だ。02、06年ワールドカップ(W杯)で笛を吹いた前JFA審判委員長の上川氏が解説していく。「憔悴(しょうすい)し切っていた」という山本雄大主審と話したことも明かし、川崎秋仁副審が「入っていない」と無線で助言してノーゴールへ向かった判定系統、その場で4人の審判団が集まって話し合いをしなかった背景などが説明された。

試合を実況していた桑原学氏が司会。繊細な案件だけに、わずかな表現の違いも慎重に撮り直しながら番組は進んだ。映像で見れば一目瞭然だが、現場ではVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)以外の確認は禁止されていること、抗議側が審判に映像を見せようとすれば罰則対象となる、など基礎から説明。その中で原氏が切り込んだ。「両チームの普通ではない反応を基に、やはりゴールと認め判定を変える勇気も必要では」。これに上川氏が「周りの雰囲気で『入ったんだな』と思っても、確証がない限り印象だけでは判定を覆せない」と返して白熱。公式見解ではない前提ながら議論は沸騰した。

番組は、判定の検証やルール解説を目的にJリーグが制作。趣旨に賛同したDAZNが火曜日に先行配信し、金曜日にJリーグ公式YouTube等でアップされる。立ち上げた昨年から出演する原氏は「視察先で『あの判定を取り上げて』と反響がすごい」。当初の月1回から週1回に拡大した中、日刊スポーツは以前から取材を申し込み「潜入」が決まった収録日の議題が偶然、誤審になった。

Jリーグメディアプロモーションの遠藤渉プロデューサーは「普段は3シーンほど取り上げますが、今回は浦和-湘南戦だけを徹底的に掘り下げました」。1場面に焦点を絞ったのは、後半ロスタイムが18分を超えた昨秋の清水エスパルスヴィッセル神戸戦以来で今季初。注目度の高さに柔軟に対応した。当時30万回に迫った歴代最高再生数を超える可能性も高い。

1時間あっという間の収録では、気になる審判の「その後」(措置や復帰プロセス)にも言及。平畠は「VARは好きじゃなかったけど、審判を守る意味では導入した方がいいのかな」と進歩する中継技術への「人」の適応を模索した。誤審前には戻れないが、ミスを認めて次に生かす-。Jが自ら番組を作る理由を見た。【木下淳】