2019年3月25日、名古屋鉄道名鉄)は名鉄名古屋駅を拡張すると発表した。

名鉄最大のターミナル駅で上には名鉄百貨店が建つ同社の心臓部ともいえる駅だが、独特の構造から「迷駅」「カオス駅」とも揶揄されてきた。

 
一見両隣に駅があるだけの普通の駅名標だが...(ButuCCさん撮影、Wikimedia Commonsより)

はたして将来どんな姿に変わっていくだろうか。

名鉄の社運をかけた再開発とともに

名鉄名古屋駅は1941年8月に開業し、当時から名古屋駅の地下にある駅である(開業時の名称は新名古屋駅)。

総延長400キロ以上の広大な路線を持っている名鉄では、ほとんどの路線から名鉄名古屋駅に列車が直通する。愛知・岐阜の両県の様々なエリアから列車がやってくるので行先や停車駅のバリエーションがとても多い。

ゆえに駅のポケット時刻表も1枚では収まらず、「岐阜・一宮方面」「犬山方面」「津島方面」「豊橋東岡崎方面」「河和・内海・中部国際空港方面」の5方面に分かれている有様だ。

今はなきパノラマカー7000系から見た名鉄名古屋駅ホーム(tsudaさん撮影、Flickrより)

これだけ路線の数が多ければ、並みの鉄道会社なら津島・西尾・内海などの支線区からの列車は途中駅で折り返しとして乗客は乗り換えを余儀なくされるところだが、名古屋へ直通列車を走らせてきたのが名鉄名鉄たる所以。名駅から沿線各地へできるだけ乗り換えなしで行けることで、中京圏の便利な鉄道網を築き上げた。

その過密な列車ダイヤを、上下2本しかない線路と4本しかない乗り場で捌いているのが現在の名鉄名古屋駅。ということで、初めての乗客には極めて難解な駅となっていた。

 
2本のカーブした線路だけで列車と乗客を捌いている(ButuCCさん撮影、Wikimedia Commonsより)

 
岐阜・犬山・津島方面のホームから発車する列車の一例(Meitetsutrainさん撮影、Wikimedia Commonsより)

北行きの線路には岐阜・一宮・犬山・津島、南行きの線路には豊橋中部国際空港知多半田・河和・西尾・豊川稲荷など無数の行先の列車が発着する。これがカオス駅の所以で、ある意味で名物駅でもあった。

もともとJR・近鉄・地下鉄と地下街が入り組んで発達してきた名駅周辺は乗り換えだけでも迷いやすく、JRとの乗り換えなら南の金山駅の方が便利なくらいである。

西側に近鉄名古屋駅、東側に地下街や地下鉄東山線名古屋駅があるため、拡張も容易にできなかったが、このほど名鉄百貨店の再開発計画と合わせて22年度に着工、現行の駅の南方に線路とホームを増設して4線構造とする計画である。すぐ西隣に近鉄名古屋駅が接しているため、南北に駅を広げることで対応する模様だ。

 
名鉄名古屋駅の改良計画図(名古屋鉄道プレスリリースより)

実現すれば名古屋以北(岐阜・犬山・津島方面)と以南(豊橋中部国際空港方面)の乗り場がさらに細かく分離できるようになると推定されるため、幾分かはわかりやすくなりそうだ。

ただ同駅周辺の再開発計画がまた大がかりなもので、現名鉄百貨店周辺から南方へ長さ400メートル、高さ100メートル以上のカマボコのような巨大な複合ビルディングを建て、商業施設・ホテル・バスターミナル(現名鉄バスセンターと思われる)などが入る内容。

2000年代以降、JR東海JRセントラルタワーズ、JRゲートタワーと立て続けに超高層ビルを建設してきたが、名鉄もまたここにきて名駅周辺の起爆剤になりうる再開発を、社運をかけて推進しようとしている。

 
計画通りなら、名駅周辺の摩天楼にまたビルが増える

名駅ではJR側でも工事が始動している。すなわちリニア中央新幹線の建設工事がすでに始まっており、27年度の開業を目指している。これはJR駅の地下30メートルに設けられる計画で、名駅の地下がさらに迷宮となる可能性もある。名鉄名古屋の混沌ぶりが解消できても、さらなるラビリンスが生まれるかもしれない。

名鉄・JR・デベロッパーそれぞれの思惑の中で、名駅周辺は2020年代にまた大きく変わろうとしている。名鉄名古屋駅も数十年ぶりの大改造が実現するかどうか、変わり目に来ている。