基地の中で行為に…?

【当直中にみだらな行為 海自の男女3隊員を停職処分】

新聞にそんな見出しが躍ったのは、今年2月4日のこと。自衛隊員の不祥事はあまたあるものの、これにはさすがに驚いた。記事を追ってみると……。

《当直勤務中に性行為を繰り返したとして、海上自衛隊下総教育航空群司令部(柏市)は4日、下総航空基地隊などに所属する20~50代の男女隊員3人を停職処分とした。(中略)停職処分を受けたのは2017年8月まで下総航空基地隊の男性2等海曹(同12日)、20代の女性海士長(同30日)。男性1等海曹は現在、別の部隊に勤務している。同司令部によると、男性1等海曹は同年2~8月ごろ、男性2等海曹は16年11月~17年9月ごろ、それぞれ当直勤務中に、部下の女性海士長と複数回にわたり、基地の中にある建物内で性行為を繰り返した》(千葉日報

基地内で性行為? 自衛隊の関係者に経緯について聞いたところ、こう語った。

「持ち場を離れて、基地内の人気のない建物内で行為に及んでいたらしい。よくもそんな場所でしたものだ。周囲に気づかれぬはずがない。実際、同僚らが現場を目撃して、告発したという」

あまりの綱紀の乱れぶりが気になり、最近の事件を調べてみると、年が明けて2か月余の間に、自衛隊ではすでに7件ものわいせつ事件が発生・発覚したことがわかった。

 

1月14日、海上自衛隊大湊地方総監部所属の自衛官が、八戸市立図書館の女子トイレに盗撮目的で侵入したとして、建造物侵入の疑いで逮捕。

1月15日、海上自衛隊鹿屋航空基地自衛官が、鹿屋市内の駐車場でわいせつな行為をしたとして懲戒処分。また、同日、陸上自衛隊善通寺駐屯地の自衛官児童ポルノDVDを購入し所持していたとして停職処分。

1月29日、陸上自衛隊米子駐屯地の自衛官が、女児らに裸の動画を撮って送らせたなどとして、脅迫と児童買春・児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕。

1月30日、海上自衛隊大湊地方総監部の自衛官が、全裸で町中を歩き、公然わいせつの容疑で現行犯逮捕。

これらと冒頭の事件だけで6件。1週間に1件を超えるペースだ。しかも、自衛隊の基地内で発生したわいせつ事件が、さらにもう1件発覚していたのである。

青森県八戸市陸上自衛隊八戸駐屯地で昨年、自衛官の男女が互いに体を密着させている様子が撮影され、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されていたことが4日、同駐屯地への取材で分かった》(共同通信

場所は違えど、奇しくも冒頭の事件と同日に明らかになった基地内不祥事を前に、取材に応じた別の自衛隊幹部は頭を抱えた。

「隊員の数が多く、管理が難しいのは事実だが、銃器をはじめさまざまな装備があり、機密情報にも接する厳粛な職場でこうしたことが続けざまに起こるとは……」

職場といえば、昨年11月、陸上自衛隊那覇駐屯地内で体調を崩した女性を介抱する際、スカート内を撮影したり体を触ったりしたとして、自衛官陸上自衛隊警務隊に摘発される事件が発生。

また、2018年3月には、女性自衛官隊舎で盗撮を繰り返したとして、陸上自衛隊大津駐屯地所属の1等陸尉が停職60日の懲戒処分を受けた事件なども記憶に残る。性犯罪として悪質なのは言うまでもなく、自衛隊の基地・官舎といった職場管理という点でもあってはならない事件である。

セクハラだけではなく

なぜ自衛官らは頻繁に、このような異常な行為に及んでしまうのか。前出の自衛隊幹部はこう内情を漏らす。

「幼稚で、抑えが利かない者が増えてきているせいだと思う。もちろん、人はさまざまな欲望を抱くものだが、しかし、それを実行に移すことは普通はない。理性なり常識なりが機能しているからだ。が、どうも最近はそうでない者が多くなった。

しかしこうなると、どうしていいものやら、途方に暮れてしまう。以前は内部でのセクハラ被害の方が問題になったものだが……」

実際、かつては女性自衛官に対する強制わいせつやセクハラが問題視されることが多かった。その最たるものは、被害当事者によって国家賠償裁判が提起された事件であろう。

2006年9月、航空自衛隊北部航空警戒管制団の女性自衛官が、泥酔した上司の男性自衛官から部屋に呼び出されて性的暴力を受けた上に、幹部に被害を訴え出ると、逆に退職を強要されるなど二次被害のような状態に陥ったため、翌2007年5月に札幌地方裁判所に提訴したのである。

 

この問題は当時、国会でも取り上げられた。同月28日、参院決算委員会で日本共産党の紙智子参院議員は、この裁判に言及し、「重大な人権侵害だという認識がなさすぎる」と自衛隊の体質を批判。提訴した女性自衛官の処遇などについて是正を求めた。

また、これに関連して、紙氏は防衛庁(当時)が1998年に自衛隊防衛大学校などで行ったセクハラに関するアンケート調査結果を示し、「『性的関係の強要』を受けたことがあると答えた女性が18.7%、『性的暴行(未遂を含む)』も7.4%にのぼる。女性自衛官1万人にあてはめると、1800人と740人にもなる」と、上官によるセクハラの常態化を指摘したのだった。

だがここ数年は、女性自衛官が関与する不祥事も目立つようになっている。

2012年に裁判沙汰になり、公にされた自衛官の「ドロドロ不倫」は当時大いに注目された。妻帯者の元自衛官の男性が、不倫相手だった女性自衛官と一時交際した男性自衛官に対して「女性が性的暴行を受けた」と言いがかりを付けた上、金銭を要求したが、その結果、懲戒免職処分になったとして、処分の取り消しを求めて提訴したのである。その過程で、3者の乱れた交際ぶりが露呈された(経緯はこちらの記事に詳しい:https://www.sankei.com/west/news/140808/wst1408080008-n1.html)。

また2014年12月には、海上自衛隊大湊地方総監を母港とする護衛艦「まきなみ」内で男性自衛官と女性自衛官がわいせつな行為をしていたことが発覚。翌2015年2月に懲戒処分が下された。

さらに2017年7月には、性的不祥事とは異なるが、陸上自衛隊今津駐屯地の女性自衛官が隊舎の自室で出産後、乳児の遺体を遺棄したとして死体遺棄容疑で逮捕されるという事件も発生している。

その一方で、従来型のセクハラやわいせつ事件もなくなったわけではない。事実、前述した「まきなみ」では、2018年7月、ふたりの自衛官が懲戒処分を受けている。

ひとりは、2017年9月から翌2018年3月までの間、同じ護衛艦に勤務する3人の女性自衛官に対し、無理やり体を触るなどのわいせつ行為を繰り返していたとされ、もうひとりは、2018年2月、同僚の女性自衛官の胸を触ったとされる。

こうした従来型の事件を含めれば、自衛隊の性的不祥事は近年急増しており、その綱紀の乱れぶりを懸念せざるを得ない状況だ。前出の自衛隊関係者は、その背景事情についてこう語る。

「幼稚な自衛官が増えてしまった、ということがまずひとつ。そのせいで不祥事自体が増えていることに加えて、かつてであれば公にならなかったことが表に出てくるような環境変化があったことが要因だろう。

かりにも国の安全保障をあずかる自衛官が、何の躊躇もなくスマホでおかしな映像をアップしてしまうようなことが起こっている。そうした感覚がほかの面にも影響している。よく言えば、昔のような隠蔽体質が薄れているということなのかもしれないが…」

 

警察も惨憺たる状況

ちなみに、同様の事態は自衛隊だけでなく、警察でも見られる。

2014年11月、女性警察官を交番に泊まらせ性行為をするなどしたとして、警視庁綾瀬署員の男女4人が処分を受け、辞職した。筆者が内部告発を受け、「週刊ポスト」で記事にした直後のことだ。

女性警察官は、複数の同僚・先輩警察官と関係を持つ一方、飲食店で上司に体を触るなどのセクハラ行為を受けており、警視庁本庁に被害を訴え出ていたことも明らかになった。

また、同年夏には、警視庁管内の警察署に所属する若手警察官が男女3名ずつ集まって合コンを開いた際、1組のカップルが新宿のラブホテルに行き、そこに警察手帳を置き忘れて騒動となったこともある。

「職務意識も職場意識も欠如しているというか、公私の別がつけられないのが最近の問題だ。これは、若い警察官だけに限ったことではないが」

と警視庁幹部は嘆く。この幹部は、最近の事例として兵庫県警の不祥事にも言及した。

「勤務中、警察署内の道場に隣接する個室で性行為をした者がいた」

兵庫県警兵庫署のことである。同県警は2017年9月、兵庫署地域2課長だったこの男性警部に減給の懲戒処分、部下で同課員だった女性巡査には本部長訓戒の処分を下した。

そして同幹部は、自衛隊の実状を踏まえつつ、こう語る。

「首都警察たる警視庁すら惨憺たる状況だ。全国の道府県警の事例も織り込めば、警察は自衛隊以上にひどいかもしれない」

問題の根本が、職務倫理や性意識といった職員ひとりひとりの内面にある以上、即効性のある有効な改善策も講じにくい。自衛隊も警察も、どちらもただ途方に暮れている状況なのだ。

これで日本の安全と治安は本当に維持されるのか。抜本的な問題解消には、隊員・捜査員教育の見直しにまで踏み込まざるを得ない惨状のようだが……。