「ソフトバンクグループ3月期第3四半期決算発表」事業方針などをプレゼンする孫正義(ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長)=6日午後、東京都港区(宮川浩和撮影)

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 ソフトバンクグループ(SBG)が株式市場の荒波にさらされている。

 孫正義会長兼社長は今月の決算説明会でSBGの株価について「安すぎる」と言及。自社株買いを発表して株価を一気に押し上げる剛腕ぶりをみせた。しかし運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が業績を引っ張るSBGは今や投資会社。株価下落局面でも投資手法を駆使して大幅損失は避けているが、米中貿易摩擦など世界経済への不安要因がくすぶり続ける中、今後も株安が業績にショックを与えるリスクは残る。

 「これが複雑怪奇といわれるSBGを表す一行の数式です」。6日に開催したSBGの決算説明会。スクリーンに映った「25-4=9?」という数式を前に、孫氏は力説した。「少なくとも9じゃないですよね」。

 この数式はSBGの株価の割安さをアピールするものだ。孫氏は携帯電話子会社のソフトバンクや米スプリント、中国の電子商取引最大手のアリババグループなど投資先企業の保有株式の価値を25兆円と算出。そこからSBGの純有利子負債4兆円を除くとSBGの株主価値は21兆円との計算が成り立つとした。一方、6日時点の株価では、SBG株の時価総額はたったの9兆円だ。

 孫氏は「(SBGの)株が安すぎる」と訴えた上で、6千億円分の自社株買いを行うと発表し、割安な株を買わなければ損、と巧みに訴えた。翌7日にはSBGの株価は前日終値比約18%も上昇した。

 孫氏はSBGの株価だけでなく、30年10~12月期に進行した世界的な株安にも神経をとがらせる。グループの収益の柱であるSVFは、貿易摩擦の影響が懸念される米国や中国の企業への投資が多い。代表例が米半導体大手のエヌビディアで、株価急落で時価総額が半減していた。株価下落によるSVFの直接的な評価損は約4千億円に上った。

 こうした中、SVFはリスクを軽減するデリバティブ取引を駆使して損失を抑制。結果、10~12月期のSVFは前年同期の約3倍超の約1700億円の利益を上げた。今年1月にはエヌビディア株を全株売却し、投資期間を通じてみれば利益を得て投資を回収したという。

 あるアナリストは「孫さんでなければ、ここまでの判断はできない」とうなる。孫氏はこれまでの投資に自信を深め、SVFの10兆円の資金を使い切れば、新たなファンドを設立する構想を描く。

 しかし東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは「これまでのようなビッグスイングが当たり続けるかは不透明だ」と指摘する。孫氏は英半導体設計大手のアーム・ホールディングスや、今年上場を予定する米ライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズなどへの出資で優れた目利き力をみせつけてきたが、株価下落局面が始まっても同様の結果を残せるか孫氏の手腕が問われる場面が続きそうだ。(万福博之)