三重県志摩半島の先端、志摩市大王町畔名。普段は風光明媚な海沿いの集落も、台風19号で大きな被害を受けました。

 軽トラックの荷台にはストーブが…。動かなくなった洗濯機を運んでくる人もいました。

(リポート)
「朝から浸水した家具などを運び出していますが、まだ30分ほどですが多くの家電や家具などが外に運び出されています」

 台風の被害から2日、空き地に災害ゴミの仮置き場が設けられ、住民は後片づけに追われました。

ゴミ出しに来た人:
「(ゴミは)結構あります、まだまだ全然。元に戻るのかが想像ができないというか。いつごろになるのかなみたいな感じ」

 全国に甚大な豪雨被害をもたらした台風19号志摩市でも降り始めからの雨量が400ミリを超えました。今回、東海地方で最も雨量が多く、平年の10月ひと月の2倍近くの雨が降ったことになります。

 この雨で畔名地区は冠水し、住宅など27戸が床上・床下浸水。13日夕方になって、ようやく水は引きました。

住人:
「あそこの木のとこくらいまで水が来てまして、車も全然通れない状態でしたね」

 1階の床が水に浸かり、畳や絨毯、多くの家具が濡れてしまった民宿も…。

浸水被害があった民宿の女将:
「この辺もいっぱい水が浮いてた。その辺の車もみんなつかっていた。ここ(辺りまで水が来た)、手で触ってみ、湿ってる」

 1人で宿泊していたお客さんと一緒に、消防のボートで避難したといいます。

同・女将:
「私81歳の(生涯の)うちで初めて見た浸かり方やから。(宿泊客には)2階に上がってもらって、ゆっくりしようと思っとった。(その時は)外見てないから言えたんやな。(ボートに乗ったら)外見た途端にびっくりした、見渡す限り水やから」

 しかし、志摩市の中でもなぜこの畔名地区の浸水被害が大きかったのでしょうか。

(リポート)
「海岸に設けられたこちらの排水溝。波に運ばれた砂で出口が塞がれ、大量に振った雨水が排出できなかったようです」

 大雨の時、集落の水を海に流す排水溝。しかし今回、波に運ばれた砂がこの排水溝の出口をふさいだため、雨水を流すことができずに集落の冠水を招いたということです。

 三重県南部では志摩市以外でも浸水被害が発生しました。

 伊勢神宮内宮から五十鈴川沿いに3キロほど下流にある伊勢市楠部町…。山と川に挟まれた一帯が水に浸かりました。

(リポート・12日)
伊勢市楠部地区です。住宅街が完全に浸水しています。住宅の中にはまだ取り残されている人がいるということで、消防がこれから救助に向かいます」

 五十鈴川の支流矢田川が氾濫し、大量の水が溢れ出し、およそ20戸の住宅が浸水。

浸水被害に遭った男性:
「完全に床上入ったな。うわ~早いな~入ってくるのが、一気や、もう長靴で入ってもらわないかん」

 住宅に水が入ってくる様子を撮影した映像。撮影したのは30年以上、楠部で暮らす山口好彦さん(63)です。

 家の中に水が流れ込んで来る中、山口さんは電化製品やタンスなどをベッドの上にあげて水から守りました。

山口さん:
「(泥は)全部洗浄して、拭き上げてという状況で、生活できる状態にはとりあえずしたんですけど」

 実はこの地区、浸水被害は初めてではありません。

山口さん:
「一昨年の台風のときに、(今回と)一緒なだけ水が入っているんです。2回目」

 2017年の台風でも同様に浸水被害が出ていました。

(リポート)
「楠部町内を流れる矢田川です。地元の人によりますとこのあたりは山に囲まれていることから、降った雨がこの川に流れ込むということです」

 地区には大雨に備えて排水機場があり、正常に動いていたということですが、処理能力を超える雨が降ったことで浸水したとみられています。

 この地域では1か月の平年雨量を上回る252.5ミリの雨が、わずか3日間で降り、ポンプでの排水も追い付きませんでした。

山口さん:
「(水は)ジワジワと上がってきますので、川みたいに流れるわけではないんで。2階におれば安心かなっていうのはありますけど、でもこれだけ浸かると…何度も…」

 楠部から五十鈴川をさかのぼった伊勢神宮内宮の近くにある、おはらい町。

観光客:
「神奈川から。本当は土日に来る予定だったんですけど」

別の観光客:
「川のほうが木とかが倒れているような感じだったので。近くが氾濫したと聞いていたので、この辺りは大変だったのかな…」

 三連休の最終日となった14日は多くの観光客で賑わっていました。しかし、12日は普段は歩ける川沿いの道も濁流に飲み込まれ、一時は氾濫危険水位を超えました。

 13日、水が引いた五十鈴川を記者が訪ねると…。

(リポート・13日)
伊勢市おはらい町近くの五十鈴川沿いの道です。こちらコンクリート製のブロックが流されてしまっています」

 濁流によってコンクリートブロックがはがれて流され、道路に設置されていた金属製の蓋もなくなっていました。

五十鈴川沿いに住む男性:
「この辺まで(腰ぐらいまで水がきた)。来るということは覚悟していた」

 五十鈴川の穏やかな流れを一変させた台風19号。被害は紀北町の海でも…。

 海からせり出す、何もない岩場。しかし実はこの場所には、12日まで高さ8.8メートルの長島港大石灯台が建っていました。

 1973年に建てられ、半世紀近く風雨に耐えてきた白亜の灯台。強風と高波で根元から倒壊し海へ落下したとみられています。

発見した人:
「きのう朝6時半か7時の間に来て。『何か足りんな…』と思ったら、白い灯台が無かったんですね。いや腰抜けましたね、あんな大きい建物が無くなっとるもんで」

 尾鷲海上保安部によりますと、復旧の目途は立っておらず、しばらくの間、簡易の灯火で対応するという事です。
(最終更新:2019/10/14 19:04)